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風を感じて・・・ 唯一ここでしか見ることのできない風景のなかで、心に浮かぶ情景をかたちにする
氷上八幡神社にほど近い、自然豊かな田園地域にある一般財団法人 池川彫刻美術館を紹介します。
2017年(平成29年)7月に ートシユキ・ヒロミメモリアル工房ー と称して、香川県文化功労者であり香川大学名誉教授で、彫刻家の池川敏幸(1929〜2022)さんの初期から新作までの作品約150点を展示して開館しました。その後、2023年(令和5年)12月に博物館に準ずる施設として指定され、現在は敏幸さんの次男で香川県出身の彫刻家池川直(いけがわすなお)さんが館長を務めています。
お話を伺った池川直さんは、鹿児島大学名誉教授、香川大学客員教授として後進の育成指導に尽力しながら、自身も作品を発表し、日展理事や日本彫刻会常務理事などを歴任。立体造形の伝承者を育てたいとの想いからさまざまな活動に精力的に取り組んでいます。
故 池川敏幸さんが三木町にアトリエを構えたのは、「唯一ここでしか見ることのできない風景」と「彫刻家はひとりではできない」という多方面(石や金属を加工する会社)との交流があったからといいます。
高松市の自宅から三木町まで通い、アトリエで作品を制作する父の姿を目にしながら共に時間を過ごし、自身も彫刻家として父と同じ足跡をたどったことは、「意識はしていなかったけれども自然な流れで不思議な偶然が重なった」とこれまでを振り返ります。
そして、今から約2年半前に「香川県独立の父」といわれる中野武営(なかのたけなか)(通称 なかのぶえい)像制作の依頼を受け、壮大な挑戦が始まりました。
当時は敏幸さんも存命で、制作中の直さんと同じ空間にいることがあったけれど、何も意見は言わなかった。「父は口数が少なく、褒めてもらった記憶はあまりない」そうですが、粘土原型が完成した武営像のことは「いいんじゃないか…」と小さくつぶやいたそうです。
武営像の制作は、まず初めにエスキース(習作)という実際の大きさの5分の1のモデルを作り、垂直を測る分銅、大きなコンパスや定規を使って入念に寸法を測りながら骨組みして補強したり、粘土の乾燥に気をつけながら粘土をつけたりして、粘土原型を作ります。
完成までに約半年かかり、2メートル50センチの武営像に使用した粘土の量は200キロ以上になります。
粘土原型が完成すると、次は石膏(せっこう)で型をとり、樹脂の原型を制作します。
このような4つの複雑で繊細な工程を経て、2023年5月末に樹脂型原型が完成しました。
6月末に美術館でトークショーが開催され、同日、武営像は京都の鋳造所(ちゅうぞうしょ)に運ばれました。その後は、10月6日に玉藻公園で行われる「ブエイ祭り」にて、ブロンズの銅像が晴れてお披露目となる予定です。
「今後は、旅人でも誰でも美術館まで足を運んでもらい、実際に作品を観て何かを感じてもらえればいい。子どもには粘土など、ものづくり体験を通して表現できる力を育むことに力を注いでいきたい。」ということです。
Information
一般財団法人 池川彫刻美術館
【住所】三木町大字氷上4852番地1
【電話】898−9798
【開館日】毎週土・日曜日の午前10時〜午後4時30分
【駐車場】氷上八幡神社西側 池川彫刻美術館看板前
執筆者 三木町町民レポーター 朝國 まゆみ(あさくに まゆみ)
意外なことに、ものづくりが得意だったことを思い出しました。皆さんの家にも懐かしの作品が残っているはず・・・!?
〒761-0692 香川県木田郡三木町大字氷上310番地
Tel:087-891-3302