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牛の世界
こんにちは、元地域おこし協力隊の芳田です。今年も町民レポーターとして、三木町の魅力を皆さんにお届けします。
今回は、畜産農家の多田牧場さんにお邪魔しました。多田牧場さんは、昨年度、香川県畜産共進会の牛の品評会で枝肉部門の農林水産大臣賞を受賞されました。牛のこと、牛肉のことを知る機会は少ないと思うので、少しでも知るきっかけになれば嬉しいです。

牛も人間社会と同じ
多田牧場では、年間約40頭の子牛がうまれ、母牛、肉牛合わせて最大120頭ほどの牛を育てています。すべてオリーブ牛です。肉牛として出荷できるのは、生後28カ月後から。なんと出荷まで2年以上もかかるということで、驚きました。牛の出産はやはり大変なのではないかと思いますが、今はカメラやセンサーを使ってお知らせしてくれるシステムを導入して管理されています。なかには、育児放棄したり、逆に自分の子ではなくてもミルクをあげたり子育てする牛もいるし、可愛いがりすぎて事故になってしまうこともあるそうです。牛1頭が誕生し、成長していくことは、とても尊いことだと考えさせられました。

牛は穏やかそうに見えるのですが、喧嘩もするし、意地悪をする子もいるそうで、家で生まれた子は兄弟がいる子、外から連れてきた子は一人っ子みたいな感じなんだとか。そして、家で生まれた子の方が強いし、1週間でも早く生まれた子が強いんだそうです。牛たちの世界もいろいろあって、とても興味深いですね。
畜産業は、農業のうち約36%の生産額を占める(野菜約24%、米約20%)重要な産業です。しかし、飼料の高騰や人手不足など厳しい状況にあります。なぜ多田さんは、このお仕事を選んだのでしょうか。
「牛飼いになりたい」
多田牧場は、平成元年に多田さんのご両親が始められました。「小さい頃からセリについて行っていたし、他の道は考えたことはなかった」と多田さん。小学校の卒業文集には、「牛飼いになりたい」と書いていたそうです。
別の仕事に就いたのちに、後を継ぐことになったのですが、その時、別の牧場で修行されました。「自分の牧場だけだと、外の世界を知らない。よそで勉強するのは大事。発見もあるし、良いところは真似しようと思った」と話してくださいました。厳しい世界だとわかっているからこそ、あえて外で学び、仕事に真剣に打ち込む姿勢がとても伝わってきました。
命を預かる
体力もいるし休めない、責任のあるお仕事というイメージはありますが、「自分がしたことに対して返ってくるのが魅力」だと言います。例えば、種付けをする時に頭の中で想像していたのと、実際に生まれた牛で、イメージ通りかどうか、自分の答え合わせをする。ぴったり合ったとき、また肉屋に評価された時は、嬉しくて、やりがいを感じるそうです。 逆に、能力があるのに評価されないときは、牛に対して申し訳ない気持ちになるんだとか。
多田さんは、牛たちの命を預かっている、大事に飼おうという想いで日々、牛たちと向き合っておられました。農林水産大臣賞を受賞できたのは、たまたまだと謙遜されていましたが、多田さんの想いに納得させられました。

これからの牧場
多田さんは、宮崎県の畜産農家さんとの繋がりもあるそうで、支援制度や補助、そして人々の意識やまとまりが全然違うと教えてくださいました。三木町もやりやすい環境があるので、国の支援などを活用しながら研修もできるそうです。後継者問題などもある中で、東讃エリアの農家仲間で最近まとまりができ始め、餌やりを助け合うなど、横のつながりも大切にされています。
三木町でこのように活躍されている方がいるというのは、とても嬉しいですし、分野は違いますが、私も負けずに三木町を盛り上げられる存在になりたいと思いました。
とても貴重な学びの機会をありがとうございました。
執筆者
三木町町民Reporter 芳田 裕美
三木町に移住して、農業やヤギの魅力にはまり、米や野菜を作ったり、カフェやキッチンカーをしながら、地域の魅力を発信しています。白山が好きです⛰
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